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【購入申し込みから売買契約までの流れ】

​「これだ!」という物件が見つかったら、いよいよ購入に向けて具体的に動くことになります。まず購入の申し込みをして売買契約を結ぶに至りますが、ここではその流れをきちんと把握しておきましょう。

購入申し込みまで
購入に突き進む前に、まずはその物件が本当に家族の希望に合うものか、再度チェックしましょう。販売担当者に「他にも検討中のお客さまがいらっしゃいます」などと言われると、焦って購入を急いでしまいがちですが、大きな買い物ですから、今一度さまざまな面から見直してみましょう。ただし「他にも…」という販売担当者の言葉は、急がせるための常套句というわけではありませんので、判断は早いに越したことはありません。
購入申し込みの時点では、条件や価格は最終確定していません。
新築物件は、特に価格や諸条件が未確定の中で、購入申し込みが行われる場合が多いです。
中古物件では、売主(不動産仲介会社)と条件や価格の確認・交渉を行い、合意に至ったときには売主側が「売渡承諾書」を、買主側が「購入申込書(買付証明書)」を発行する、という手続きをとることもあります。

購入申し込みから売買契約まで
誤解されがちですが、「購入申し込み」は契約ではありません。単に「買いたい」という意思を表明するだけのもので、その意思表明に基づいて、売主と買主が細かな条件を話し合い、合意できれば正式に売買契約を結ぶことになります。
人気の物件では、購入希望者が重なることがあります。その場合には、先着順もしくは抽選で購入者を決めるのが一般的です。先着順の場合には、売り出しから申し込みを随時受け付けていて、早く申し込んだ人から決まっていきます。
抽選の場合には、売り出しから一定期間申し込みを受け付け、締め切り後に抽選会を行い、購入できる人を決めます。人気が高いエリアの新築マンションなどでは、倍率が数十倍という物件も珍しくありません。
申込時には申込金の支払を求められることがあります(詳しくは「購入申し込みと留意点」をお読みください)。
申し込みが受け付けられたら、諸条件や価格の交渉などを経て、最終的に詳細の合意まで進みます。合意に至ったら、買主がその内容を理解し確認できるよう「重要事項説明」が行われます。その上で問題がなければ、売買契約を結ぶことになります。

購入申し込みの撤回は可能?
売買契約に至るまでの流れを説明してきましたが、一つ気になることがあります。もしも途中で気持ちが変わって購入をやめたくなったら、申し込みは撤回できるのでしょうか。
多くの人にとって、住まいは人生で数少ない大きな買い物です。家族のニーズが変わったり、気持ちに変化が生じたりしたときには、「営業の人に悪いから」などと考えるより、方針を転換すべきでしょう。
購入申し込みは、先にも説明した通り契約ではありませんから、撤回することができます。申込金を支払っている場合にも、原則として全額返還されます。ただ、だからといって気軽に申し込むのではなく、さまざまな検討を重ねて、気持ちをしっかり定めてから行いましょう。

 


【購入申し込みと留意点】
購入申し込みの後には、売買契約を結ぶことになります。契約書の内容や手付金のことなど、一般にはあまりなじみがないことが多いので、事前に知っておくと安心ですよね。

売買契約書を確認しよう
売主と買主の取り決めを文書という形にするのが、売買契約です。住まいは大きな買い物だけに、売買契約は慎重に結びたいところです。一度締結してしまうと、解約するのはかなり困難ですから、どんな契約を結ぶことになるのか、関係書類をあらかじめしっかり確認しておきましょう。
契約に関係する書類には、「売買契約書」の他、「重要事項説明書」「設計図面」「確認申請書」「地盤調査資料」等がありますので、事前にこういった書類をもらって予習しておくとよいでしょう。
契約書の中で確認すべきポイントは、以下のようなものです。
●所在や土地の面積、建物の概要など
●諸手続の期限
●契約解除や契約不履行についての取り決め
●ローン特約など特約がある場合にはその内容
●設備や備品の取り扱いについて(主に中古住宅の場合)
●欠陥や不具合があった時の対応(瑕疵担保責任)
●特記事項

手付金について知っておこう
売買契約の際には、一般に手付金を支払います。契約に対する保証金のようなもので、買主の都合で契約を破棄する場合には、この手付金を放棄することになり返ってくることはありません。また売主都合で契約が破棄される時には、倍の金額が買主に支払われます。
ただし、こういった「手付金による解約」が有効なのは、「契約相手が契約の履行に着手するまで」と定められているので、注意してください。
支払った手付金は頭金に組み込まれますので、物件引き渡しの前に頭金と諸費用を精算する時には、その分を差し引いた金額を支払うことになります。
手付金の金額については、売主が不動産会社(宅地建物取引業者)の場合には「物件価格の20%以下」という決まりがあります。また、手付金が売買代金の10%(未完成物件では5%)もしくは1,000万円を超える場合には、万が一不動産会社が倒産した場合にも手付金が保証されるよう、銀行や保証会社が保全措置を取ることになっています。

契約の解除についても知っておこう
一度売買契約を結んでしまうと、契約を解除することは困難です。ただ、前項で説明した「手付金による解約」以外にも、どんな場合にどのような負担をすれば解除できるのかを知っておけば、冷静な判断がしやすくなりますから、ケースごとの条件などを押さえておきましょう。
○ローン特約による解約
住宅ローンを利用する売買契約では、ほとんどの場合、「ローン特約」が盛り込まれています。STEP3の「申し込みから融資実施までの流れ」でも触れていますが、これによりローンの本審査に落ちた場合など、ローンが利用できなくなったときには、買主の負担なく契約を解除することができます。
○契約不履行による解除
どちらかが契約を守らなかった場合には、催告した上で契約不履行による解除が可能となります。売買契約では一般に、契約を守らなかった側が違約金を支払うよう定められています。
○建物の滅失・毀(き)損による契約解除
売買契約締結から引渡しまでの間に、地震ほか天災など、売主・買主ともに責任のない理由によって建物がなくなってしまったり、壊れて使用できなくなった場合には、危険負担の特約によります。通常は契約を解除し、違約金などの支払い義務は双方に発生しないとするものが多いようです。ただし、危険負担の特約がないときは、買主に代金の支払い義務がありますので、どのように決められているか、しっかり確認しましょう。



【重要事項説明について】
売買契約の前に行われる重要事項説明は、購入する物件や契約について確認する最後の機会です。不安なく契約が結べるよう、しっかり活用しましょう。

重要事項説明とは?
住まいの購入については複雑なことがたくさんあるので、わからずに契約してしまうと、暮らし始めてから「こんなはずじゃなかった」と大きな後悔をすることもあり得ます。そうならないために大切なのが「重要事項説明」です。
売買契約の前に必ず行うよう、宅地建物取引業法で定められているもので、宅地建物取引士が記名捺印した「重要事項説明書」を交付するとともに、口頭でも説明を行います。
このとき、宅地建物取引士は、必ず自身が持つ宅地建物取引士証を提示しなければなりません。
買主は説明を理解し、納得できたら、重要事項説明書に署名捺印します。この手続きが完了してようやく、売買契約に進むことができます。

説明を受ける内容
重要事項説明の内容には、大きく分けると「物件に直接関係する事項」と「取引条件に関する事項」「その他の事項」の三つがあります。具体的な内容を順を追って見ていきましょう。
物件に直接関係する事項
【物件の概要や権利関係】
・所在地、地目、面積、権利の種類等物件の概要
・抵当権の設定等、登記記録の内容
・売主の表示など【法令に基づく制限】
・都市計画法に基づく制限-市街化区域等の別
・建築基準法に基づく制限-用途地域等
・その他法令に基づく制限-古都保存法、急傾斜地法など


【物件に関連するインフラ】
・接道状況について
・私道負担について
・上下水道、電気、ガスなどの状況
【物件に関するその他の事項】
・宅地造成・建物の形状等
・造成宅地防災区域や土砂災害警戒区域内の別について
・石綿(アスベスト)の使用状況について
・耐震診断の内容、住宅性能評価書交付の有無


【マンションの場合の諸権利や規約】
・敷地についての区分所有者の権利など
・共用部分、専有部分などの定めについて
・修繕積立金、管理費について
・管理形態・委託先などについて
・修繕の実施状況について

取引条件に関する事項

【契約に関する事項】
・代金以外の支払いや精算金などについて
・契約解除について
・損害賠償額や違約金について
・手付金・支払金・預かり金などの保全措置について
・金銭の貸借について
・瑕疵担保責任の履行に関する措置について
・割賦販売について

その他の事項
【その他】
・供託所についての説明
・添付書類についての説明

しっかり納得してから捺印しよう
重要事項説明が済めば、売買契約へと進むことになります。売買契約を結んだ後で、万が一「こんなこと聞いてない!」というようなことがあっても、重要事項説明書に署名捺印していれば、「説明したはず」となってしまい、対応してもらえないこともあります。
ですから、もしわからないことや疑問を感じることがあれば、この機会に遠慮なく質問しましょう。そのためには、あらかじめ重要事項説明書をもらって熟読しておくことをおすすめします。
また重要事項説明を受けて、物件の内容や取引内容について、自分の認識とずれていたり、受け入れられないことがあった場合には、購入申し込みを撤回して売買契約を結ばない、という選択もできます。



【不動産登記手続きについて】
住まいの購入手続きの中で、大きな意味を持つのが不動産登記です。どのタイミングでどんな手続きをするのか、費用負担はどのくらいか確認しておくと安心ですよね。

不動産登記ってどんなもの?
不動産は大きな財産です。どの物件が誰の持ち物なのか、どんな権利が設定されているのかなどをハッキリさせておかないと、トラブルの元にもなりかねません。そのために行われるのが、「登記」という手続きです。
一般に登記は所有権などの権利を示す「権利部」と広さや場所を示す「表題部」があり、権利部には、所有権の他にも、抵当権や借地権、地上権、地役権などが登記されます。
一方、表題部には、土地なら所在や地番、地目、地積、建物の場合には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積などが登記されます。登記された内容は、法務局で誰でも閲覧することができます。
住まいを購入するときには、「所有権登記」を行って、その物件の土地や建物が自分のものになったことを登記する他、住宅ローンを利用する人では、抵当権を設定したことを登記することになります。

権利関係を明らかにする所有権の登記
住まいが自分の持ち物であることを示す所有権登記には、「所有権保存登記」と「所有権移転登記」という二つの種類があります。「所有権保存登記」は、まだ所有権の登記がされていない不動産について、その物件を初めて登記する際に行われるものです。建物を新築した場合は、一般的にこの登記手続きがとられます。
これに対して、売買などによりすでに登記されている不動産の所有権が移ったことを登記し直すのが「所有権移転登記」です。中古物件や土地は通常、こちらの登記方法になります。
またマンションなど、複数の区分所有者が土地を共有している物件では、専有部分の所有権と敷地の利用権をバラバラで売却されるとややこしいことになります。それを防ぐため 「専有部分と一体化した敷地利用権=敷地権」が設定されている物件では、土地の登記が省略されます。
いずれの場合も、登記の手続きは残金の支払いと同時に行われます。手続きを一般の人が行うのは難しいので、一定の報酬を支払って司法書士に依頼するのが一般的です。司法書士報酬の相場は8万~10万円程度ですが、この他に登録免許税がかかります。

住宅ローンを利用するなら抵当権設定登記も
住宅ローンを利用する場合には、必ず新居に抵当権が設定されます。抵当権はいわば資金の貸主(債権者)が新居を担保として確保する権利です。この抵当権を設定することで、万が一借主からのローンの支払いが滞った場合には、貸主側は新居(担保不動産)を差し押さえて競売にかけ、貸したお金を回収することができます。
抵当権を設定するときには、そのための登記が必須です。通常は所有権の登記と一緒に行われます。やはり司法書士に依頼するのが一般的で、司法書士の報酬と登記にかかる登録免許税を買主が負担します。


【物件の最終確認と残代金などの精算について】
売買契約が完了したら、残代金と諸費用を支払ってから物件の引き渡しです。大きなお金をやりとりするので、トラブルなどがないよう、流れを把握しておきましょう

物件の最終確認
残代金・諸費用を支払って、物件の鍵を受け取れば、実質的な取引は完了です。でもその前に、一つだけやることがあります。引き渡される物件の確認です。それまでに、何度か見る機会があったはずですが、残代金・諸費用の精算と引き渡しの前には、売主・買主が立ち会って最終確認を行います。
チェックするのは、主に「契約した内容通りになっているか」という点です。中古物件では、契約時に受け取った「付帯設備表」や「物件状況等報告書」に照らして確認します。
「付帯設備表」は、住まいに付属する設備を記載したもので、庭木や庭石から給湯器やエアコン、温水洗浄便座など引き渡しの対象となるすべての設備について、有無と状態が書かれています。
これに対して「物件状況等報告書」は物件そのものの状態を記した書類です。雨漏りやシロアリの害、構造に関わる木部の腐食、給排水設備の故障などについて記載があります。
特に中古物件の場合には、引き渡しまでにも状況が変わることがあるので、「付帯設備表」「物件状況等報告書」に照らして、しっかり確認しておきましょう。
物件確認の際には、その他にも電気・ガス・水道の使用法やトラブル時の連絡先などについて引き継ぎを受けたり、隣家との境界について説明されたりすることがあります。

当日までに用意しておくもの
残代金・諸費用の精算と物件の引き渡しには、そのための書類やお金などを用意しておく必要がありますから、間近になって慌てないよう、準備を進めておきましょう。
【用意するもの】
●残代金と諸費用、仲介手数料、登記費用、火災保険料等のお金(残代金の支払に住宅ローンを利用する場合は、当日振り込めるよう手配しておく)
●実印
●住民票(同居する人全員分)
●写真がついている身分証明書(運転免許証、パスポートなど)

残代金・諸費用の精算と引き渡し
物件の最終確認が終わったら、残代金・諸費用を支払って、物件の引き渡しを受けます。住宅ローンを利用する人では、ローン契約を完了して、残代金を支払える状態にしておく必要があります。
【残代金】
物件価額から、売買契約時に支払った手付金や申し込み時に支払った申込金を差し引いた残金。ローンを利用する場合は、当日に融資が実行されるので、そのまま振り込みなどを行います。
【諸費用】
仲介手数料、登記費用(司法書士への報酬、登録免許税)、固定資産税・都市計画税の買主負担分、マンションの場合は管理費・修繕積立金の負担分などを支払います。固定資産税・都市計画税は日割りで計算し、引き渡し前日までは売主の負担となります。マンションの管理費なども同様です。
物件の引き渡しでは、付属する鍵すべてと建築確認通知書および検査済証、管理規約、設備の取扱説明書や保証書などを受領します。

 

契約手続きについて

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